→福島第一原子力発電所の事故による放出された「多量の核種について」どう考えるといいのか
→セシウムが不検出でも、他の放射能物質はどうなのでしょうか?
という趣旨の質問を受けることが多いので、まとめてみましたのでアップしたいと思います。
以下まとめ^^↓
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福島第一原子力発電所の事故により多量の放射性核種が放出されました。
その放出された多量の放射性核種には、それぞれ半減期というものがあります。
半減期とは、不安定な放射性核種が安定な核種に変わろうとする際に、
エネルギーを放出して現時点の量から半分の量になるまでの時間となります。
その際に出されるエネルギー別に分けますと
大きく分けて「α線」「β線」「γ線」と言われております。
また、半減期はそれぞれの核種で異なってます。
大きく分けますと
長寿命核種
短寿命核種
と分けることができます。
4年が経った今、
短寿命核種と言われるものはほとんど存在しておりません。
(例として「ヨウ素131」等。ヨウ素131の半減期は約8日です。)
また、逆に長寿命核種と言われるものは、ほとんど崩壊せずに、
事故により放出された状態で存在して残っております。
(例として「プルトニウム239」等。プルトニウム239の半減期は2万4千年です。)
長寿命核種はなかなか崩壊しません。
各核種がそれぞれ同じ原子核の数存在していると仮定すれば、
短寿命核種ほどBq数は大きく、長寿命核種ほどBq数は小さくなります。
半減期から考えますと、原子力発電所の事故で4年が経った今現在でも残っていると思われるのは、
セシウム134(半減期約2年)
セシウム137(半減期約30年)
ストロンチウム90(半減期約29年)
トリチウム(半減期約12年)
他長寿命核種(プルトニウム239等)
です。
原発事故以後の調査により大気中に放出された量は
セシウム137、ストロンチウム90と比べると長寿命核種はほとんど放出されていないようです。
(参考:wikiペディア「チェルノブイリ事故との比較」)
一部抜粋
また、土壌測定の結果
セシウム137とセシウム134とストロンチウム90とプルトニウム239の存在比は概ね
Cs137:Cs134:Sr90:Pu239=1,000,000:1,000,000:1,000:1
とのデータがあります。
(※参考:東京大学 大学院総合文化研究科 広域科学専攻 環境分析化学研究室(松尾研究室) 小豆川助教のデータから。
使用許可は頂いておりますので、参考資料として紹介させて頂きます。)
よって今回の原発事故で考えるべき核種は
セシウム137、セシウム134及びストロンチウム90を見ていけば事足りると推測されます。
なお、ストロンチウム90ですが、
土壌の存在比はセシウム137やセシウム134の1000分の1ですから、
セシウム137の存在があるかどうかでほぼ判断できる結果となっております。
(※注意点ですが、距離に限らず存在比はほぼ同じ結果であると報告があります。
その存在比は、原発事故後1年~2年の間のものであります。
セシウムとストロンチウムの物理的な性質の違いも有ります。
今現在でもその存在比はほとんど変わらないそうですが、
一部セシウムだけ又はその逆でストロンチウムだけ濃縮されたと思われる結果もあります。
なお、一般的な農地ではどちらかの核種が濃縮されてしまうというような状況は無いようです。
ただし汚染物質が流れ込みやすい場所は除きます。)
結論として、
セシウム137が少しの存在であれば、ストロンチウム90の存在はその1000分の1と推測されます。
プルトニウム239については、その100万分の1と推測されます。
セシウム137が1000Bq/kgや100万Bq/kg検出されると、他のβ線核種やα線核種を放出する核種も
検出されるほど存在してくると推測されます。
(※海は除きます。
海の汚染の結果は、セシウム137:ストロンチウム90=1:1と言われております。
こちらも原発事故後1年~2年の結果ですので、今現在は再調査を要します。)
測定結果から、セシウム137が1.0Bq/kgも検出されなければ、ストロンチウム90等は検出されたとしても0.001Bq/kgも検出されないと思われます。
絶対存在しませんとは言いきれませんが、通常の測定では検出されるようなことは無いと考えられます。
また、この場合、検出されたとしても原発事故以前の汚染と比較した場合、
ハッキリと原発事故由来の汚染であると言えるレベルのものでは無いとも考えられます。
ご参考になりましたら幸いです。
文責:おのみち -測定依頼所- 杉原
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