非電化工房のCSK-3i測定器等における長時間測定について(3時間を超える測定など)某所で気になることを拝見いたしました。
そのことについて、非電化工房さんへお問い合わせをしましたので、その内容等を公開したいと思います。
(※一部氏名などの記載を変更させて頂いております。)
[当方から非電化工房へ]
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非電化工房
副代表 藤村 様
いつもお世話になっております。
広島県尾道市にあります、おのみち -測定依頼所-の者です。
某所で気になることを拝見しましたので、お問い合わせしたくメールをさせて頂きました。
その内容ですが、
「非電化工房のCSK-3i測定器における長時間測定(3時間を超える測定)について、その測定結果には注意」といった意味合いの記載があります。
藤村さんがおっしゃられているのは、 通常の測定を行った場合において
→CSK-3iはNaI結晶も3インチと大きいからノイズを受けた際の影響も大きい
そのことから、
通常測定者が守るべきことを守った上で、
・誰が測定しても
・どんな環境でも
という前提条件で、3時間までであれば非電化工房としてもその測定結果はサポート範囲と言う意味でおっしゃられていたのではと推測します。
ですので、測定者自身がしっかりとした知識をもち、
そして測定器を設置する場所の環境整備を行い
温度、湿度、電圧、ノイズ対策を理想環境に近づければ3時間以上の長時間測定も可能であると考えております。
某所の内容では、CSK-3i測定器による3時間以上の測定の場合、誤計測が起こりやすいため長時間測定はできないという印象を受けます。
当方として、非電化工房のCSK-3i測定器がそういう状態になるのではなく、
NaIシンチの測定器は全てそういうものであると認識しておりますが、そう捉えて間違いないでしょうか?
また、「非電化工房のCSK3-i測定器以外の機種による長時間測定」
を推測した記載もありますが、
現状ではNaIシンチであればどんな機械でも、温度補償があろうとも、
できるだけ正確な測定を行うためには、環境ノイズの低減を行うといった対策等を講じる必要があると把握しております。
非電化工房のCSK-3i測定器による測定において、長時間測定をずっと行ってきた者としては、
確かに低い値の定量は難しいですので、1Bq/kg程度の定量はゲルマで行うべきであると考えております。
ですが、1Bq/kg以下でも測定環境が整えば、長時間測定することにより反応があることを確認しております。
なお、今まで反応があったケースについて、数値を確定させるためゲルマニウム測定を行ったケースもございます。
そのケースを添付させて頂きます。参考になりましたら幸いです。
(画像はページ最後にあります)
CSK-3iは良い機械だと思います。
一般の方の要望に答えるよう、環境整備をおこなって長時間測定を行っている測定所も増えてきていると伺っております。
サポートの範囲外だと思われるのですが、「長時間(3時間以上)測定したCSK-3i測定器の結果には注意」という書き方は当方のみならず、他の測定所に対しても今後に良い影響を与えないのではと考えられます。
3時間以内の測定であっても、測定の仕方が乱雑であったり、整備されていない測定環境の場合、信頼のおける測定値は出て来にくいことをよく御存じであると思います。
どこまでの長時間測定であれば信頼できる値が出るのか試行錯誤の末、当方では12時間と設定しております。
今後とも、良い関係を築いていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
おのみち -測定依頼所-
[非電化工房から当方へ]
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おのみち -測定依頼所-様
いつも応援ありがとうございます。
この度はメールいただきまして、また資料多数お送りいただきまことに
ありがとうございます。
さて、結局のところ、メーカーとしては既にこちらの手を離れた所で
行われた測定については結果を保証することができず、最終的な測定精度は
個々の環境によって決定されるのはおのみち -測定依頼所-様ご指摘の通りです。
3インチの検出器はかなり高効率に検出率が稼げますので、低濃度領域まで踏み込みやすく、
そのため返って2インチや2.5インチ機と比べて誤差が目立ちやすくはあると感じています。
エンジンが大きい車がスピードが出やすく、その分運転が難しくなるという状況に似ている
かもしれませんね。
1Bq/kgを下回る低濃度の結果について、Ge半導体の結果と一致しない
とのクレームを頂くことが少なからずあり、また、初心者の方から何時間
測ればいいのかという問い合わせを頂くことも多いので、ひとつの目安と
して3時間程度ということを提示させていただいております。
ユーザー様の知識についてもおのみち -測定依頼所-様のように大変よく知識をお持ちの方から、
初心者の方まで幅広く、また、非電化工房は測定室フランチャイズではあり
ませんので、一様の目安はご提示しても全ユーザー様に画一の使用方法を
強制することは適切ではないと思料しています。個々の事情に併せてお使い
いただければと思います。
以上、ご参考になりましたら幸いです。
よろしくお願いいたします。
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非電化工房
副代表 藤村研介
〒329-3222 栃木県那須郡那須町寺子丙2783-22
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また、別途電話でも伺わさせて頂いております。
(電話の内容)
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CSK-3iにとって3時間という測定時間ですが、あくまでも目安ということです。
AT1320A/C機においては、3時間というメーカー推奨の時間があると伺っております。
どうして3時間測定が推奨となったのか、一つの経緯をある方からお伺いしました。
他にもいろいろな経緯があるようです。
結果として、AT1320A/C機において長時間測定を行うことについては、各測定所での判断で行うという形のようです。
したがって、各測定所では日々どうすれば真の値に近づくことができるか、またいかに誤測定を行わないか苦労されている面もあると伺っております。
非電化工房では、AT1320A/C機の経緯から目安を3時間にしたわけではないとのこと。
3時間までの測定であれば誤差はあまり生じないと考えられることからという形でした。
NaIはゲルマニウム測定器と比べるとそのエネルギーの分解能は劣っています。
天然核種が存在していますとセシウムがあった場合、その値は高く出てしまいます。
逆にセシウムが無いのに有ると出たり、有るのに無いと出たりすることがあります。
短時間測定でも、測定方法や測定環境では信頼できない値をはじき出してしまうこともあり得るわけです。
測定時間の判断は各ユーザーに委ねており、各測定所(各個人)の責任の範囲で測定をしていただく、それ以上はないとのことでした。
(電話の内容ここまで)
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まとめです。
◆◆◆
●CSK-3iの測定器は3時間以上の長時間測定も可能ですが、それは各測定所(各個人)の責任による判断となります
●測定環境等を踏まえて、各測定所(各個人)の測定可能時間を公言するのは問題はありません。
→「当測定所では、3時間以上の測定は信頼性がないと判断していますので、3時間以上の測定は行いません。」等
●CSK-3iという測定器は、NaIの結晶の大きさが3インチですので、2インチや2.5インチの測定器と比べてノイズが非常に乗りやすいです。
それを分かったうえで測定を行う必要があります。
→長時間測定を行う場合(便宜上3時間を超える測定とします)
(利点)
長時間測定を行うことで計数を稼ぐ事ができますので、測定下限値を下げることができます。
(欠点)
温度・湿度・電圧・大気中等の天然放射線(ラドンetc)・BG変動等の影響を強く受けてしまいます。
想像する以上に、誤差を無くす為の安定化を保つのは難しいと思われます。
また、その結果数値には、常に疑問を持つ必要があります。
→短時間測定を行う場合(便宜上3時間以内の測定とします。)
(利点)
周りの環境変化による影響を受けにくいので、誤測定の可能性が少ないです。
(欠点)
計数を稼げないため、測定下限値が高くなりがちで、数値も安定しません。
また、短時間測定でも出てきた結果数値には、常に疑問を持つ必要があります。
補足ですが、CSK-3iという測定器が一般に販売されている他の測定器と比べたとき、主に異なる点は次の4点になります。
1.解析ソフト
2.温度補償の有無と、その際の温度計の位置とその補正方法
3.機器の接続方法はデジタルなのかアナログなのか
4.遮蔽体
繰り返しになりますが、各測定所(各個人)で、
「3時間以上の測定は、誤測定の可能性が高くなってくるため当測定所では測定しない(できない)」と主張することには、なんら問題はありません。
各測定所(各個人)で、測定結果の責任は持ちますということです。
「CSK-3iの測定器では、3時間以上の測定はできない」と、測定器を指して公言するのが問題になるのではと思います。
なぜなら、その測定結果の責任はメーカー側にではなく、各測定所(各個人)に存在するからです。
当測定依頼所では、環境整備の上、測定時間を1時間~24時間で設定して検証し、
12時間測定までであれば誤測定の可能性を低くすることができると判断して、12時間測定を行っております。
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お願いがあります。
各測定所で判断し設定されている測定時間において、異なる測定時間をご要望の場合は、まずは各測定所にご相談ください。
当方は少しでも測定下限値を下げるために、長時間測定を行っております。
ですが、長時間測定には常に誤測定のリスクが付きまといます。
それを考えたうえで、できるだけ真の値に近づけるよう測定を行っております。
測定結果に疑問点があれば、その疑問の解消に努めています。
また、その測定結果は「おのみち -測定依頼所-」として責任を持って通知しております。
機器の不具合があった場合については、メーカーに連絡し即時対応していただけるよう努めております。
なお、当測定所で蓄積しております長時間測定における情報的・技術的な部分は、ご要望がございましたら可能な限り提供したいと思います。
よろしくお願いいたします。
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(以下参考スペクトル)
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(余談)
1インチ=2.54cm
2インチ=2.54×2=5.08cm
2.5インチ=2.54×2.5=6.35cm
3インチ=2.54×3=7.62cm
1インチ結晶=2.54×2.54×2.54=16.38..cm3
2インチ結晶=5.08×5.08×5.08=131.09..cm3
2.5インチ結晶(AT機)=6.35×6.35×6.35=256.04..cm3
3インチ結晶(CSK-3i)=7.62×7.62×7.62=442.45..cm3
3インチ結晶は2.5インチ結晶の1.72倍の結晶の大きさがある。
442.45÷256.04=1.728...≒1.72倍
未検証ですが、2.5インチの測定器と3インチの測定器で結晶面積は1.72倍の差があるため、
測定ノイズも1.72倍の差があると考えています。
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(追記:平成25年12月30日)
nkom様から、上記計算方法は立方体での計算のため、実際の結晶の大きさとは違うとのご指摘を頂きました。
実際は、次のとおりではないかとの話です。
情報提供ありがとうございます!
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nkom様のページ
「Pico Tech - Help Me」より
http://pico.dreamhosters.com/HelpMe.html
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・CsI:1センチ角の結晶 (
アルマジロ Type1など)=1cc
・CsI:
iMetry=2cc・6,000cpm/μsV/h(カタログ値)
・CsI:
アルマジロ Type2や
チャピー検出器製品版=3cc
・CsI:PM1703シリーズ、GammaRae2=約4cc・6,000cpm/μsV/h(カタログ値)
実測は、遥かに高い?0.05μsVくらいで、8cps=480CPM以上あります。
・CsI:PM1406=約8cc(カタログ性能値からの推測)12,000cpm/μsV/h(カタログ値)
・NaI:1インチ((直径1インチ=25mm×長さ1インチ)AT1125など=約12.5cc・21,000cpm/μsV/h(カタログ値)
・CsI:1インチ(2.54cm)角
アルマジロ Type3=約16.4cc・28,000cpm/μsV/h(実測+推定)
・CsI:1インチ×1インチ×2インチ
チャッピーデジタル211=約33cc・50,000cp,/μsV/h(カタログ値)
・CsI:1.5インチ角×1インチ厚
HSF(ホットスポットファインダー)=36cc・40,000cpm/μsV/h(カタログ値)
・NaI:1.5インチ(直径1.5インチ=40mm×長さ1.5インチ)
Sovtube小=約50cc・60,000cpm/μsV/h(実測+推定)
・CsI:2インチ角×1インチ厚
iFKR-ZIP=65cc
・NaI:2インチ(直径2インチ=50mm×長さ2インチ)=約103cc
FUIジャパン2インチなど
・CsI:2インチ角
アルマジロ2インチ角=131cc
・CsI:2.5インチ(直径2.5インチ=63mm×長さ2.5インチ)
Sovtube大=約196cc・240,000cpm/μsV/h(実測+推定)
・NaI:2.5インチ(直径2.5インチ=63mm×長さ2.5インチ) Atomtex1320=約196cc
・NaI:3インチ(直径3インチ=76mm×長さ3インチ) NaI標準=約347cc EMF211など多数
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・長時間測定を可能にするために、測定室の環境整備を行っています
長時間測定を行うことによりノイズの平滑化を行い、計数を稼いでいます
ピークは有りそうなのに検出されていない場合等では、必要な際はゲルマニウム測定による確定が必要になります
その1:「おのみち -測定依頼所-」の測定室の環境について
・非電化工房へ長時間測定についてお問い合わせ内容等
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